相続人の確定/弁護士法人アスタスク法律事務所(神戸)遺言・相続・遺産分割法律相談室

相続人の確定についてです。

 

遺産争いは,単純化すれば,「相続人(分けるべき財産の帰属主体)」が「相続財産(分けるべき対象)」を分けるのに関して生じる争いです。
従って,上記の両者の範囲が確定しないことには,さらに進んで「分け方」の話にはなりません。
遺産分割協議に無資格者(相続人でない者)が含まれていれば分割は無効となり,逆に有資格者の一部を除外して分割協議がされた場合も,分割は無効となってしまいます(ただし,死後認知の場合は例外あり。)。
そのために,戸籍謄本などを取り寄せて,正確に相続人の確定をする必要があります。認知された「婚外子」の存在が明らかになるようなこともあります。

 

 

第1 相続人調査の方法

 

戸籍謄本,除籍謄本,改製原戸籍謄本,住民票などにより行います。
被相続人の出生時から死亡に至るまでの身分関係を戸籍関係書類で調査して,相続資格のある者を確定しなければなりません。
さらに,相続資格のある人が現在も生存しているかどうかも戸籍謄本などにより確認する必要があります。

 


①被相続人の死亡の記載のある除籍謄本ないし戸籍謄本から,被相続人の出生の記載がある除籍または改製原戸籍謄本まで,可能な限りさかのぼって取得するとともに,

②推定相続人の範囲を確定するために,各相続人の現在の戸籍にたどり着くまで調査,取り寄せをする必要があります。

 

除籍謄本は,被相続人の本籍地の市区町村で交付を受けることができ(郵送による申請も可),場合によってはその際に「出生からの身分関係の分かる謄本を全て申請したい」旨を告げると一つの役所で全て揃う場合もありますが,これができない場合にはいちいち除籍謄本などの記載事項をさかのぼって行かなければなりません。
また,被相続人が本籍を転々としてきた場合などには本籍の移転したすべての除籍謄本が必要となります。
相続人の戸籍謄本もそれらの者の本籍地の市区町村で交付を受けることができます(郵送による申請も可)。

被相続人の最後の住所地の調査は,住所地の市区町村から除住民票の写しの交付を受けることにより行います。

また,確定された相続人について,現住所を調査する必要もあります。
相続人の住所が分かっている場合は,当該市区町村から住民票の写しの取り寄せを行います。
相続人の住所が不明の場合,あるいは除住民票の保存期間(5年)が経過するなどして住民票の所在地が不明の場合には,本籍地の市区町村から戸籍の附票の交付を受けることによって確認することができます。

現住所不明の場合は,まずは戸籍の附票を取り寄せ,それをもとに住民票を取り寄せることが必要となります。

 

 

 

第2 相続人の順位

 

相続には順位が決められていて,先順位の相続人がいない場合(相続放棄・欠格・廃除の場合も含む)に次順位の相続人に相続権が生じます。

 

1 第1順位の相続人=子

 
被相続人に子があれば,その子(胎児を含む)は第1順位の相続人となります。
相続開始以前(被相続人の死亡以前)に「相続人たるべき子」(被相続人の子)が死亡しているときは,その者(被相続人の子)にさらに「子」があれば,その「子」が相続人となります(「代襲相続」といいます)。
相続開始以前に代襲者が死亡していても,その者(代襲者)にさらに「子」があればその「子」が相続人となります(「再代襲相続」といいます)。

 

2 第2順位の相続人=直系尊属

 
被相続人に子(ないし代襲者・再代襲者)がいない場合(第1順位の相続人がいない)は,直系尊属(被相続人の親など)が相続人となります。

 

3 第3順位の相続人=兄弟姉妹

 
第1順位及び第2順位の相続人がいない場合は,被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
相続開始以前に,「相続人たるべき兄弟姉妹」が死亡しているときは,その子が代襲して相続人となります。
兄弟姉妹の場合,①と違い,再代襲は認められていません(ただし,昭和55年12月31日以前に相続が開始した場合には,再代襲が認められています)。

 

被相続人の配偶者=常に相続人

 
被相続人の配偶者は,上記①~③の順位で決まる相続人と常に同順位で相続人となります。
配偶者とは,法律上の配偶者のことです。内縁配偶者及び配偶者であった者(離婚)は,相続人ではありません。

 

5 具体例

 

被相続人に配偶者がいて,さらに子がいれば,子は第1順位の相続人に,配偶者は子と同順位で相続人,となります。

 

被相続人に配偶者がいて,子はいない(第1順位者がいない)が,被相続人の親(第2順位者)がいれば,「被相続人の親」と「被相続人の配偶者」とが相続人となります。

 

6 要注意

なお,昭和22年5月2日までに開始した相続については,原則として旧民法(昭和22年改正前)の親族法,相続法が適用され(=家督相続制度),上記の説明が当てはまりません。

 

 

 

 

 

第3 相続人の確定

 

相続人となる一般的資格は,「第2」記載の通りですが,それに該当する者であっても必ず相続人となるというものではありません。民法は,相続欠格,相続廃除という制度を設け相続資格の剥奪を認め,また,相続選択の自由(相続放棄など)を認めています。

 

1 相続権の剥奪

 

ア 相続欠格


相続秩序を侵害する非行をした相続人(例:相続に関する被相続人の遺言書を偽造,変造,破棄,隠匿した者)の相続権を,法律上当然に剥奪する制度。

 

イ 相続人の廃除

配偶者,子,直系尊属に非行や被相続人に対する虐待・侮辱がある場合に,被相続人の意思に基づいてその相続人の相続資格を剥奪する制度。

 

2 相続の選択(相続放棄など)


民法は,相続をするか否かにつき相続人に選択の自由を認めています。
すなわち,民法は,相続人に一定の期間を区切り,相続財産を負債を含めて全面的に承継するのか(「単純承継」といいます),逆に財産の承継を全面的に拒否するのか(「相続放棄」といいます),相続したプラスの資産の範囲内で債務などの責任を負うのか(「限定承継」といいます),いずれかを選択できるようにしています。
そのうえで,相続人が一定の期間内に選択をしなかったり,一定の態度をとらなかったりした場合には,単純承継がされたものとみなしています。

 

ア 単純承継


被相続人に多額の借金があった場合,相続人は自己固有の財産でも弁済(返済)をしなければなりません。

 

イ 限定承認

相続した財産の範囲内で被相続人の債務(借金など)を弁済(返済)すればいいというものです。
「自己のために相続が開始したことを知ったときから3か月以内」に,家庭裁判所に対して限定承認をしなければなりません。
ただし,限定承認は,相続人の全員が共同した場合のみすることができますので,相続人のうち1人が単純承継するという場合には,これをすることができなくなってしまいます。

 

ウ 相続放棄

「自己のために相続が開始したことを知ったときから3か月以内」に,家庭裁判所に相続放棄の申述をしなければなりません。被相続人が死亡した日から3か月経ってしまったら絶対に相続放棄することができないというわけではなく,事情によっては(被相続人に多額の借入金があることを全く知らなかったなど)死亡日から3か月以上経っていても相続放棄することが可能な場合もあります。
とはいえ,相続放棄されるのでしたら,すみやかに家庭裁判所で手続きをされることをおすすめします。

相続放棄がなされると,その者は初めから相続人とならなかったものとみなされます。

 

具体例 

法定相続人が配偶者」と「子2名」
→法定相続分は,配偶者が2分の1,子はそれぞれ4分の1ずつです。子のうちの1名が相続放棄をすると,相続放棄をしていない子の法定相続分が2分の1になります。

ところで,相続放棄によって,次順位の者が相続人となる場合があります。

 

具体例 


法定相続人が「配偶者」と「子1名」
→子が相続放棄をすると,相続人は,配偶者と直系尊属(第2順位)(直系尊属がいなければ第3順位の兄弟姉妹)になります。
要注意:相続放棄の場合は,「代襲相続」がありません。→「被相続人の子」が相続放棄をしても,「被相続人の孫」が代襲者として相続することにはなりません。

 

 

第3 相続人調査をしたところ・・・

 

1 相続人の一部について,生存は明らかなものの行方不明となっており,調査を尽くしたがその住所が判明しない場合(「不在者」といいます。)
相続人は,不在者の住所地の家庭裁判所に,不在者の財産管理人の選任を求める申立をする必要があります(家庭裁判所が,不在者の財産管理人を選任します)。
そして,遺産分割協議は,家庭裁判所により選任された「不在者の財産管理人」を交えて行っていくことになります。

 

2 相続人の中に未成年者がいる場合


相続人の中に未成年者がいる場合には,その法定代理人の親権者が,未成年相続人に代わって遺産分割協議を行いますが,下記の場合には,親権者と未成年者の利益相反行為(利害が対立する)となるため,家庭裁判所に未成年者の特別代理人の選任を求める必要があります。


① 親権者と未成年者がともに相続人で,親権者が未成年者の代理人としても遺産分割協議を行う場合(親権者が未成年者の取り分を少なくして,自分の取り分を多くするなどの恐れがあるため)


② 親権者を同じくする複数の未成年者がいて,当該親権者がそれぞれの未成年者の代理人として遺産分割協議を行う場合(親権者が特定の未成年者の取り分を少なくして,特定の未成年者の取り分を多くするなどの恐れがあるため)

 

そして,遺産分割協議は,家庭裁判所により選任された「特別代理人」を交えて行っていくことになります。

 

3 戸籍などで相続人調査をしたものの,相続人となるべき者が見つからない場合(=相続人のあることが明らかでない場合)
利害関係人などの請求によって,家庭裁判所が相続財産管理人を選任します。
そして,相続財産管理人が相続財産の管理人となります。

 

 

 

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